君に捧げる最後の夏

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「ラストファイト!1分15!16!17!…」 マネージャーの声が響き渡るなか、 大会前ラストの調整が終わる。 「もうっ……リコ…まじで速すぎ…。」 「この程度でへばったら私には勝てへんで〜?」 笑いながらそう言うリコには まだまだ走れそうな余裕すらある。 「・・・なぁ、リコ。  次の大会、うちらの引退試合になるよな。」 「そうやな、このグラウンドともおさらばかぁ!」 「終わったらすぐ受験勉強突入やで?どうする?」 「あー!まじやめてほんっとムリ!」 シャツが肌にはりつく。蝉が鳴いている。 練習終わりのこの時間が、 永遠に続けばいいと思うくらいに愛しい。 ドサッ。 リコが突然グラウンドに寝転がった。 「ちょっと!リコなにしてんの!背中汚れんで!」 「いいからいいから。アスカも寝転がってみ?  意外と気持ちいいで〜。」 リコにシャツを引っ張られ、 仕方なくその場に寝そべってみる。
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