君に捧げる最後の夏

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「・・・これ意外と気持ちいいかも。  背中汚れるけど。  あー。帰ったらお母さんに怒られそうやわ。」 「ええやろ別に、どうせ汚れてんねんから。」 2人で青空を眺める。 太陽が眩しくて、目が思うように開かない。 それでも、この青空は美しいとよく分かった。 私はここにある全てを抱きしめたくなった。 そして同時に、ここなら言い出せると思った。 「次の大会さ。絶対リコに勝つから。  勝ったら、その・・・。」 言葉につまったのは口の中に砂が入ったからだ。 きっとそうだ。 ここで言い出せなかったら、私は一生後悔する。 「勝ったら?なに?なんかしてくれんの?」 リコが微笑みながら私を見ている。 それだけで嬉しくて、照れくさかった。 「リコに伝えなあかんことがあるねん。」
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