君に捧げる最後の夏

6/9
前へ
/9ページ
次へ
「なんでやっ…!なんで…。」 張り出された自分のタイムを受け止められない。 結局、私はリコの記録を超えられなかった。 その差は2秒。 800mでの2秒の差は大きい。 私の夏は、ここで終わった。 「お疲れ、アスカ。  今までで1番かっこよかった。よう走っとった。」 リコは私の頭にタオルを被せ、ぽんぽんっと撫でた。 私の涙に気づいているようだった。 この優しさが、今の私には辛い。 余計に涙が溢れ出してきて、止まらない。 「約束…守れんかった…。 私が…リコを超えるって…絶対勝つって…。」 「まあな。私だって、アスカには負けないって気持ちで走っとったし。今回は私の勝ちや。」 リコは優しく笑って、私を抱きしめた。 どうやっても、リコには勝てないなと感じた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加