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「なんでやっ…!なんで…。」
張り出された自分のタイムを受け止められない。
結局、私はリコの記録を超えられなかった。
その差は2秒。
800mでの2秒の差は大きい。
私の夏は、ここで終わった。
「お疲れ、アスカ。
今までで1番かっこよかった。よう走っとった。」
リコは私の頭にタオルを被せ、ぽんぽんっと撫でた。
私の涙に気づいているようだった。
この優しさが、今の私には辛い。
余計に涙が溢れ出してきて、止まらない。
「約束…守れんかった…。
私が…リコを超えるって…絶対勝つって…。」
「まあな。私だって、アスカには負けないって気持ちで走っとったし。今回は私の勝ちや。」
リコは優しく笑って、私を抱きしめた。
どうやっても、リコには勝てないなと感じた。
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