少女の終わり

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少女の終わり

 少女は走った。  裸足に小石が幾つも当たった。  それでも少女は走った。  昨夜の雨のせいで地面は冷たく湿っていた。  とにかく少女は走った。  はめられた首輪が喉に食い込んだ。  呼吸がしにくい。  肺が爆発しそうだ。  首輪から伸びた鎖がジャラジャラと鳴った。  必死に、必死に少女は走った。  少女は全裸だった。  この山中に連れて来られ、裸にされ首輪をはめられ、四つん這いで歩くよう命じられた。歩くのが遅いと、お尻を固い靴で何度も蹴られた。  少女は走った。  とにかく逃げるために。  山を出て誰かに助けを呼ぼう。  何度もつまづきそうになった。  汗が全身から溢れる。  足に無数の切り傷。  少女は泣き、鼻水を垂らした。  大きな声を出したかったけれど、その分だけ体力を消耗しそうだったので、我慢した。とにかく真っ直ぐ進むことだけを考えた。  まだ夜にはなっていないのに、道はとても暗くて、このまま山の中から出られないんじゃないか、と少女は思った。怖くなってうずくまってしまいそう。けれど、走る、走る。
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