27人が本棚に入れています
本棚に追加
/287ページ
少女の終わり
少女は走った。
裸足に小石が幾つも当たった。
それでも少女は走った。
昨夜の雨のせいで地面は冷たく湿っていた。
とにかく少女は走った。
はめられた首輪が喉に食い込んだ。
呼吸がしにくい。
肺が爆発しそうだ。
首輪から伸びた鎖がジャラジャラと鳴った。
必死に、必死に少女は走った。
少女は全裸だった。
この山中に連れて来られ、裸にされ首輪をはめられ、四つん這いで歩くよう命じられた。歩くのが遅いと、お尻を固い靴で何度も蹴られた。
少女は走った。
とにかく逃げるために。
山を出て誰かに助けを呼ぼう。
何度もつまづきそうになった。
汗が全身から溢れる。
足に無数の切り傷。
少女は泣き、鼻水を垂らした。
大きな声を出したかったけれど、その分だけ体力を消耗しそうだったので、我慢した。とにかく真っ直ぐ進むことだけを考えた。
まだ夜にはなっていないのに、道はとても暗くて、このまま山の中から出られないんじゃないか、と少女は思った。怖くなってうずくまってしまいそう。けれど、走る、走る。
最初のコメントを投稿しよう!