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「よく考えてみろよ。そんな奴、俺以外にもいっぱいいるぞ。たまたま中道のおばさんが俺と似た男と歩いていたってだけだろ?」
「そうだけど。もしかしたらって思うじゃん」
よせよ、と建志は更に笑った。大袈裟に。「あんな太ったおばさんとホテルなんて行くわけがないだろ。気持ち悪い」
そうだよね、と亜里沙は今日初めて笑った。建志に向けて。
「ごめん、ごめん、ちょっと不安になっちゃって」
まったく、と建志は椅子から立ち上がり亜里沙を抱き寄せた。亜里沙は玉ねぎを持ったままだった。
「話したいことがあるっていうから来てみれば、こんなことかよ」
そう言って首筋に唇を押し付ける。
吐息を漏らしながら、ごめん、と亜里沙は謝る。
亜里沙よりも中道のおばさんの方が抱き心地はいいな、と建志は思ったが、硬くなったモノを亜里沙に押し付けていた。亜里沙の声が高くなる。
スマホが鳴った。ごめん、と言って亜里沙は玉ねぎをテーブルへ置き、スマホを手に取る。画面を見て首を傾げる。どうやら知らない番号らしい。
とりあえず出てみたら、と建志が言うと頷いてスワイプした。
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