蝋燭番の仕事

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二人は自分の持ち場を毎夜毎夜、決まった順路で巡った。蝋燭の嫌な匂いも、最初こそ鼻についたものの今は慣れてしまった。 スィンザが前も見ずにどんどん火をつけて歩くので、セラフィーナは彼を引き止めるために彼の洋服の袖をぎゅっと掴んだ。 正面には、暗くて細い通路がある。 「あっちはだめよ。外へ繋がる廊下は行っちゃいけないって、ご主人様に言われてるでしょう。私達は自分の持ち場を見てまわればいい。それだけでも、夜が明けてしまうんだから」 意思のない人形のように、ただ同じことを繰り返す日々。それを疑問に感じたこともない。 「セラフィーナは真面目だね。僕は疲れちゃったから休憩したいな。そうだ、あの暖炉のある部屋へ行こうよ」 スィンザは疲れたと言いながらも小走りに駆け出した。 仕事中に休憩なんかしたらいけない。セラフィーナはそう言いかけたけれど、彼女にとっても暖炉のある応接間(ドローイングルーム)はお気に入りだった。 いっとう明るくて、力強い炎が見られるからだ。 二人は応接間の暖炉で、一緒に手をかざし薪を燃やした。二人で火を灯すといつも幸せな気持ちになれる。 冷えていた部屋も徐々に暖まっていく。 「スィンザ。こっちに来て、これ見てみてよ」 部屋の中をウロウロしていたセラフィーナが、いつになく興奮した様子でスィンザを手招きした。
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