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二人ぼっちのかくれんぼ
その晩からたびたび、蝋燭番の子供が消えるようになった。
一人いなくなるごとに館は静かになっていく。
次は自分の番かもしれないと怯えながら、仕事はいつもどおりにこなした。
仕事のあとは疲れ切って泥のように眠る。
横になればすぐに寝入ることができた。たいてい宵の口まで目を覚まさない。
蝋燭番の子供達の寝室は地下にあった。
窓はなく外からの光も届かない。備え付けはテーブルとソファ、それから小さなベッドが等間隔に並んでいる。
その寝床も日に日に空いていく。
今は空いたベッドのほうが多いくらいだった。
今日なんか、もう寝る時刻だというのにセラフィーナとスィンザ以外の子供が戻ってきていない。
(まさか、私達二人以外みんな消えてしまったの?)
セラフィーナはベッドに横たわり天井を見つめた。とても眠れない。夜になれば仕事をしなくてはならないから、今のうちにしっかり休んでおきたいのに。
トカゲが心配そうに身を寄せてきた。
カロルの事件以降、ずっと少女のそばにいる。
(まさか、仲間が消えた原因はこの子? スィンザの言っていたように、魂を食べてしまうという悪い精霊だったの)
不安は募るものの、セラフィーナにはどうしてもこのトカゲが悪いものとは思えなかった。
「もし、スィンザまでいなくなってしまったら。この広い館で一人、永遠に働かなければならないとしたら」
独り言を理解したように、トカゲは細い舌先でセラフィーナの頬を舐めた。
「私、怖くて仕方ないの。寝なくちゃいけないのに」
「セラフィーナ、じゃあさ。かくれんぼして遊ぼうよ」
隣のベッドのスィンザが跳ね起きた。
もう寝たと思っていたのに、実は起きていたらしい。
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