そうだ、甲子園へ行こう

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そうだ、甲子園へ行こう

「そうだ、甲子園へ行こう」 ゆきのぶ、しげる。2人は幼い頃からの仲良しであった。 そして、今は中学3年生。テレビで夏の甲子園大会を見て、決心した。その優勝した高校へ2人で入学しようと考え、受験して合格し、それから野球部へ入部した。 「・・・ゆきのぶ。中学ではどこの部活にも入っていません」 「・・・しげる。同じく、中学ではどこの部活にも入っていません」 新入部員あいさつで、2人はそれぞれ発言した。それでも、2人は運動神経がよかった。中学までは趣味で野球、というかソフトボールをよくやっていた。 そして、練習に参加していった。きつい練習であった。甲子園で優勝するほどの高校ならそういうものであろう。それでも2人は耐えていった。 やがて、次の夏の甲子園大会へ向けての予選が始まった。ゆきのぶとしげるの2人も1年生でレギュラー枠に加えられていった。 「そういや春の大会はどうなってたんだろ。ぼく、この学校に合格してからずっと遊んでたから見てなかった」 「自分も受かってから入学までの間テレビ見ないで遊んでたな」 そこへ野球部のキャプテンがやってきた。 「君ら、そんな事も知らんかったんか。予選落ちだよ」 「え、どうして。夏は優勝したんですよね」 「ああ。だけど、その時の主力選手は大半が3年生だったんだ。だから大会が終わると受験や就職でいなくなって、1年と2年だけになったんだ。自分もその頃は2年だったけどな」 「そうか、残った1年と2年がふがいなくて春の大会で予選落ちしたんだ」 「何だと。まあ実際その通りだったけどな」 「去年の3年生達はよほどの奇跡の世代だったりして」 「まあそうかもしれんな。まあ君達は1年生の中でもできのいい方だから期待してるよ」 「ああ、ぼくらの目標は甲子園だからな。がんばります」 「同じく」 しかし予選では決勝戦まで行ったものの、敗退してしまった。 「残念だったな」 「ああ、甲子園に行きたかったな」 「君ら、そんなに甲子園へ行きたいか」 キャプテンが話しかけてきた。 「ああ、そうですけど」 「同じく」 「それじゃあ、君達、甲子園に行ってきてくれるか」 「ええ、今何と」 「2人で甲子園に行ってこい」 「予選落ちしたんだけど」 「どうしてですか」
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