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予感が的中して、僕は当然の権利のようにほっとする。
君も同じようにほっとしているのだろうかと考えながら。
どこかでヤマバトが歌い始めた。
デデクルッポデデクルッポ
「ヤマバトが怒ってる」
「え?」
「私のことよ。あなたではなく」
思わぬことを言われて、少しの間、僕は何も言うことができなかった。
ぎゅうと痛む胸を抱えながら声を出す。
「僕のことも同じだよ」
君と目が合う。憐みがこみ上げてくる。
「僕のことも同じくらい怒ってる」
僕たちは一時期、お互いに惹かれ合った。
でも、取るに足らない小さなことが積み重なって、吹けば飛ぶような失望もたくさんして、今のこの状況に至った。
僕らは、やはりこのまま別れるんだろう。二人がそれを望んでいるから。
デデクルッポデデクルッポ
ヤマバトが歌う。
胸を張り、見事に一定のリズムで。
あれは怒ってるんじゃない。
笑ってるんだ。
デデクルッポデデクルッポ
(愛してなんかなかったくせに)
デデクルッポデデクルッポ
(すぐに忘れようとしてるくせに)
デデクルッポデデクルッポ
(全て分かっているんだぞ)
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