やぁやぁ、秋がまだ来ないね

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 それから、再び市役所前の池の中で、最後の星も見つけることに成功した。御褒美の唐揚げを頬張りながら、浮かれていたヤァヤァは、ふと、地面に落ちた葉っぱが黄色いことに気づいた。遊歩道には銀杏の実。大好きな秋の到来だ。 「家族で栗拾いでもしたくなるな」  桃谷の一言で、ヤァヤァは、もうずいぶん家に帰っていないことを思い出した。 「大変!楽しくて、ついつい忘れてた!」  桃谷と徳島君に別れを告げ、家族のもとへ、一刻も早くたどり着くため駆けていく。赤とんぼが動き回り、舗道に栗や柿が潰れている。試しに柿を一舐めするも、苦くて顔をしかめた。山の至るところに、ドングリが転がっていて、子狐の瞳が爛々輝いた。 「そうだ!お土産にドングリを持って帰ろう」  口に入るだけ、片っ端から詰め込んだ。丸っこいのや細長いの。大きいのや小さいの。ハムスターみたいに頬を膨らませ、のんびり歩いていく。そんなヤァヤァのもとへ、一匹のリスが通りかかる。 「やぁ、リスさん。秋が来て最高だね」  口に物を詰めたまま話すものだから、せっかく咥えたドングリが数粒コロリと落ちてしまう。話すたびにドングリを舗道に落としながら、長々とお喋り狐は話す。急いで帰ろうと思っていたのに、出会いがしら、みんなと話すものだから、かなり遠回りしてしまう。あっという間に迷子になったけれど、落ちたドングリが、道しるべになったよ。  山の奥では母さん狐と父さん狐、兄弟たちがヤァヤァを待っていた。 「聞いて、ヤァヤァが帰って来たよ!」  子狐が途中で出会った動物たちが、狐の家族に告げていく。それを聞き、みんな急いで山を下りていく。道に落ちたドングリの実を目印に、狐の家族は、ヤァヤァをとうとう見つけたのさ。あんまり長いこと帰らないので、叱りつけようと思った母さん狐は、息子の顔を見て吹き出してしまった。ヤァヤァは、口の周りに、唐揚げにかかっていたマスタードをべったりつけて、ぽけっとしているんだもの。  
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