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私達が子爵家から逃げ出した後、義姉が無事だったのかはずっと気になっていた。 私がしつこく聞くものだから大公様が調べてくれた情報によると、義姉は一時期は意識が中々戻らずに本当に危ない状態だったらしい。 怪我をしていた右足に障害は残ってしまったものの、何とか命は助かったと聞いて安心はしていたけど。 久しぶりに見る義姉は、少し痩せては見えたけど、二年前よりも更に美しくなっていた。 一瞬こちらに視線を向けた義姉の翡翠の瞳と目が合う。 しかし、私が何か言う前に義姉は目を逸らすと、何も言わずにその場に跪いた。 「何か申し開きはあるか?」 跪く義姉に、国王陛下が厳かに尋ねる。 「何もございません。全て陛下のお言葉に従います」 それに答える義姉の声は、今目の前で両親が断罪されたとは思えない程に落ち着いていた。 両親が犯した犯罪に、義姉も関与していたのかは私はわからない。 でも、もしそうでないのだとしたら私は……。 「大公様……」 見上げる私の方を見て、優しい目で頷くと、大公様が国王陛下の方を向き直る。 「陛下、恐れながら申し上げます」 「うむ、聞こう」 それに国王陛下も鷹揚に頷いて答える。 「先に報告致しましたように、エミリア嬢は子爵夫妻の罪に関与はしておりません。 ですが、子爵家は今回の事で取り潰しは確実ですし、いくら直接の関与はないと言っても無罪放免とは行きますまい。 本来であれば、貴族籍を剥奪の上、修道院送りが妥当なところだとは思いますが……」 その言葉に不安になっている私の方に視線を向けると、大公様は小さく微笑む。 「もしよろしければ、エミリア嬢の身柄を我が大公家で預からせては頂けないでしょうか?」 「大公様!」 「うむ……。お前がそう言うのなら良かろう。 そのように手配せよ」 その言葉に、つい嬉しくて国王陛下の御前であることも忘れてはしゃいでしまう。 義姉に目を向けると、まるで信じられないものを見る様に呆然としている。 「エミリア嬢」 「は、はい……」 「貴女のことはユーリから聞いている。 突然家がこんなことになってしまい驚いているだろうが、貴女のこれからのことは我が大公家が責任を持って引き受ける。 だから、安心していい」 「え……。いえ、その、あ、ありがとうございます……」 大公様に視線を向けると、大丈夫だと言うように頷いてくれる。 それに満面の笑みで頷き返すと、私はまだ呆然としている義姉の元へと向かう。 「お義姉様!」 「ユーリ……」 ガバッと抱き着いた私を、義姉は驚きながらも受け止めてくれる。 「もう大丈夫です!私と一緒に大公家で暮らしましょう?」 「え、ええ……。そう、そうね……。ありがとうユーリ……」 そう言うと義姉も抱き締めてくれるものだから、私は嬉しくてなって更に強く義姉に抱き着く。 そんなに私達を、大公様や国王陛下。周りの人々が優しく見守っていた。
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