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…………はずだったんだけど。 「ほら、やっぱりこの子はお姉様の面影がありますよ!」 「そうか?言われてみればそんな気もするが、やはり君に似ているだろう。 同じ黒髪だし」 「でもでも!瞳はお姉様と同じ色なんですよ? とっても綺麗な翡翠色!」 ベッドに横になっている自分を覗き込んでいる夫婦を見て、あたしは内心頭を抱えていた。 まだ思うように身体が動かせないけどね。 最後に見た時は泣き出しそうなのを我慢して無理矢理笑顔を浮かべていたその顔には、今は心からの幸せそうな笑顔が浮かんでいる。 「確かに美しいな。私としては、私の色も引き継いで欲しかった気もするが……。 顔立ちも色までも君たち姉妹に似ているなんて……」 少し寂しそうにしている夫に、妻である女性が慌てたようにフォローを入れようとしているが……。 「えっと……でもほら! 耳!耳を見てください!耳は旦那様に似てますよ!?」 うん、フォローになってないね。 耳が似てるってなに!?聞いたことないよそんなの!? 「耳……いや、うん、そうだな。元気に育ってくれさえすればそれだけで良い」 「そうですね……。 そして、この子が……。 ミリアーナが大きくなったら、聞かせてあげたいです。 貴女には、とても優しい伯母様が居たのよって。 伯母様のおかげで、お母様は生きていられたのよって」 いや、あのそれは……。 「そうだな。この子の名前は彼女からもらったものだし、たくさん聞かせてあげよう」 やっぱりこの名前ってそうですよね!? そうじゃないかなって何となく思ってました! 「はい。 それにですね、私何となく思うんです。 もしかしたら、ミリアーナはお姉様の生まれ変わりなんじゃないかなって」 よくわかったね!? 「そうかもしれないな。 まぁ、さすがにこの子まで前世の記憶があるとは言わないだろうが」 残念ながらあるみたいですが!? はぁ、本当にどうしてこうなったんだろう。 今世での両親のやり取りを聞きながら、あたしはそっとため息を吐く。 まぁ、まだ赤ん坊だからため息になってるかはわかんないけど! ちらりと視線を向けると、今世の母親。 記憶にある姿より、少し大人っぽくなったユーリが嬉しそうに手を伸ばしてくる。 「どうしたのミリアーナ? お母様に抱っこして欲しいのね?」 そう言ってあたしを抱き上げるユーリの腕の中は、とても暖かくて居心地がいい。 まさか、また記憶を持ったまま生まれ変わるなんて思ってもみなかった。 しかも、妹の娘になるなんて、正直どうしたもんかと思う。 それでも、一つだけわかっていることがある。 きっと、今世のあたしも幸せな人生を過ごせる。 今度は愛する妹……いや、お母様と一緒に。 ~完~
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