エピソード1 美人四姉妹と同居?!

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エピソード1 美人四姉妹と同居?!

事の始まりは、両親の海外赴任だった。 「タケシは、中学に入学したばかりだし、私たちに付いて来るより、日本に残った方がいいわね」 お母さんが、そう言った。 「そうだな……。そうだ! 兄さんのところの大学生の子供たちが、四人で大きな家を借りて、暮らし始めたそうだ。そこに同居させてもらってはどうだろう? なあ、タケシ、どうだ?」 お父さんが、そう言った。 僕は、その、いとこたちに、まだ会ったことはなかった。 だが、お母さんも、同意した。 「それは、いいわね。お義兄さんのとこの子どもたちと言えば、美形で、みんな優秀よね。たしか、一番上の春美さんは、理学部で細菌の研究をしてるわよね」 僕は、それを聞いて、心の中で、小躍りした。 美人女子大生と同居! しかも、理系美女! 「二番目の夏美さんは、学生モデルよね?」 僕は、もう、天にも昇る気持ちだった。 美女モデルと同居!!! 「三番目の冬美さんは、体育大学でテニスをしているのよね。オリンピックにも出るかもっていう腕前らしいわ」 スポーツ美女! しかも、オリンピック選手?! 「四番目の秋美さんは、俳優養成所に通っているそうよ」 うおーー!!! マジで、女優と同居?! 「どう? タケシ、同居、頼んでみる?」 「はいっ! はいっ! もう、もちろんですっ!」 思春期の中学一年生の僕にとって、このまだ見ぬ美女四姉妹は、夢のような存在だった。 しかし! そんなうまい話には、途轍もなく大きな真っ黒い穴があったのだった……。
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