14人が本棚に入れています
本棚に追加
エピソード1 美人四姉妹と同居?!
事の始まりは、両親の海外赴任だった。
「タケシは、中学に入学したばかりだし、私たちに付いて来るより、日本に残った方がいいわね」
お母さんが、そう言った。
「そうだな……。そうだ! 兄さんのところの大学生の子供たちが、四人で大きな家を借りて、暮らし始めたそうだ。そこに同居させてもらってはどうだろう? なあ、タケシ、どうだ?」
お父さんが、そう言った。
僕は、その、いとこたちに、まだ会ったことはなかった。
だが、お母さんも、同意した。
「それは、いいわね。お義兄さんのとこの子どもたちと言えば、美形で、みんな優秀よね。たしか、一番上の春美さんは、理学部で細菌の研究をしてるわよね」
僕は、それを聞いて、心の中で、小躍りした。
美人女子大生と同居!
しかも、理系美女!
「二番目の夏美さんは、学生モデルよね?」
僕は、もう、天にも昇る気持ちだった。
美女モデルと同居!!!
「三番目の冬美さんは、体育大学でテニスをしているのよね。オリンピックにも出るかもっていう腕前らしいわ」
スポーツ美女!
しかも、オリンピック選手?!
「四番目の秋美さんは、俳優養成所に通っているそうよ」
うおーー!!!
マジで、女優と同居?!
「どう? タケシ、同居、頼んでみる?」
「はいっ! はいっ! もう、もちろんですっ!」
思春期の中学一年生の僕にとって、このまだ見ぬ美女四姉妹は、夢のような存在だった。
しかし!
そんなうまい話には、途轍もなく大きな真っ黒い穴があったのだった……。
最初のコメントを投稿しよう!