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ブロック塀にまたがった状態になったところで、田吉の部屋から刑事や警官たちが顔を出し「いたぞ!」と声を上げた。
「コラ、待て!」と連呼する刑事たちの言葉を浴びつつ、北郷はブロック塀の反対側へ体重を寄せて、そちらへ降りた。降りたというより落ちた。
隣は新しめのアパートで、その裏の建物は一軒家だった。境界線はフェンスで仕切られていたので、北郷はすぐにそのフェンスを乗り越えて裏の家の敷地に入り、建物とフェンスの間を進んでいって道路へ出た。路上にはまだ警察は来ていなかったが北郷は若干痺れの残る足で走り出した。遠くからは「どこ行きやがった!」と刑事たちの声が聞こえた。
パンツ一枚で、北郷は走って逃げた。
(続く)
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