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普通ならそこでカウンターに落ちて終わりになるところなのだが、このときは違った。グラスは比較的カウンターの縁近くに置かれており、飛んで行ったチャーシューはカウンターを通り過ぎて床へと落ちていった。
北郷はそれに気づかずに店を出ようとした。
「おい」
左の席のチャーシューを食べ損ねた男が、低い声で北郷を呼び止めた。
北郷はその声を聞いたものの、自分へのではないと判断して店のドアを開けて外へ踏み出した。
その時、北郷は後ろから肩を掴まれた。ちょうど店の外へ体が全部出たところだった。
(続く)
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