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相手がそう言い終わらぬうちに北郷は相手の腹にパンチをくれてやった。
うめき声を上げながら腹を押さえる相手の背中に、北郷はさらに両手のひらを合わせた拳で思いっきり叩きつけた後、相手の頭を押さえて相手の顔に膝蹴りを入れた。
相手はそのままうつ伏せに倒れる。北郷はさらに相手の頭目掛けて何度も蹴りを入れ、何度も踏みつけにした。
「クソが! 舐めた真似してんじゃねーぞ」
そう言うと北郷は相手に触れられたジャケットの肩のあたりを何度か払う仕草をして、そこから悠然と立ち去った。
五メートルほど歩くと、背後から女性の悲鳴が聞こえた。
北郷は咄嗟に走り出した。すぐにここから逃げなければ。本能的な判断だった。それに従い、一目散に逃げることにした。
(続く)
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