(二)

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 背後からは相変わらず激しくドアを叩く音と警察の声がする。  ベランダの下は砂利石が敷き詰められていた。隣のアパートとの境界線にはブロック塀があったものの、人一人分ぐらいの隙間がある。  すでに田吉はその隙間を縫って走り出していた。  背後ではドアを叩く音が変わり、ドアをぶち破ろうする音がした。  北郷は意を決して下へ飛び降りた。  北郷は砂利の上に着地した。  つま先から膝下まで一気に痺れがきた。痛みを堪えてなんとか一歩踏み出し、田吉とは反対の方へ進んで行った。 (続く)
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