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 どこからか優しい声がする。  振り返るといつもいる、彼女。  眩し過ぎるまっさらな景色の中、色白で見慣れた姿の彼女が私に微笑みかける。  必死に手を伸ばすその指先が、決して届かないこと。 いつも彼女には手が届かないことを、私は知っている。  だから大声を上げて。振り絞っても届かない声を上げて飛び起きるのだ。
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