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心臓が鳴り響く中俺は開いてる部屋に飛び込んだ。
そこには血を流して倒れている女性とその女性に指輪をつける男。
「おい!何してるんだ!」
男を突き飛ばし女性の状態を見る。かすかに手が動いているのを見て傷口に脱いだ服を押し当てた。
「まだ生きてる!おい、まずはそのナイフから手を放せ!おい!聞いてるのか!」
突き飛ばされた体勢のまま震えている男に声を強くかける。
「…あ、おれ…おれ…。」
「大丈夫だ!まだ生きてる!殺してない!」
自分がやったことに震えている様子をみてきっと感情ががっと高ぶってこんなことをしたのだろうと思った。
「とにかく、そのナイフをこっちに渡せ。な?ほら。」
力が入っていない手からナイフを抜き取る。
「あ…。ち…血を止めないと…。」
そういって男は女の方へ駆け寄り傷口の上の服を圧迫して止血を試みた。
よかった。これで大丈夫だ。
今回は誰も殺していない。
正義を全う出来た。
間に合ってよかった。
張りつめていた息をゆっくり吐き出して、吸い込んだ瞬間に、違和感。
気づかなかった匂い。
ガスの匂いに部屋の奥に目をやると縄で縛られている人の足。
そして、目の前で、空気が爆ぜた。
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