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後悔に押し潰されそうになったそのとき、心の中に直接聞こえる不思議な声がした。
『光の道を渡りきった者よ。一つだけ願いを言うがよい』
周りを見ても、誰もいない。それが人を超えた存在なのがすぐわかった。
冥界で聞いた声を思い出す。光の道を振り返らずに渡り切れば、願いが叶うようなことを言っていた。
「どんな願いでも叶うんですか? 死者を蘇らせることも」
『もちろんだ』
天の声がなぜ生き返る機会を与えてくれたのかはわからない。でも、私がここまで歩いてきた目的は、ただひとつ。
「では、ここに座る彼女を美しい姿で現世に蘇らせて下さい」
ふっと天から光が降り注ぎ、椅子に座る彼女の体を包みこんだ。その体を蝕んでいた痣が消え、ゆっくりと目が開かれる。
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