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光の道は、ひたすら天へと伸びていた。死んだ体に疲労は感じないが、どこまで続くのかわからないことは精神に堪えた。
数日か、数ヶ月か、あるいは数年か。終わりの見えない、永遠とも思える道をただひたすらに歩き続ける。
もはや終わりそのものが存在しないのではと考え始めた頃、前方に人影が見えた。少しずつ、こちらへと近づいている。
最初は幻かと思った。何度か目を凝らしてみるが、間違いない。その人影は、この道を下りてきているのだ。
わざわざ下りてくる理由として考えられることは、いくつかある。
この道の先が行き止まりで、仕方なく引き返している可能性。
そもそも、この道が光の世界、すなわち現世につながっているというのも、確証のある話ではない。あきらめて引き返しているのかも知れない。
私とは反対に、自ら現世より下りてきているという可能性もある。
新たに死者となった者がこの道を通ることを選んだのかも知れない。もしそうなら、この先に現世が存在することは確定する。
いずれにせよ、その人物と話をすれば、何らかの手掛かりを得られるだろう。
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