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母ちゃんは、部屋に入るなり、大声でまくし立てた。傍にいた警官が必死で母ちゃんをなだめる。
「で、何があったんですか?」
母ちゃんはわらわらと集まってきた警官にそう言って凄んだ。聞かれた警官はたじたじで公園に不審者がいるって通報があり、そこに俺がいたことを説明した。
「私も仕事中なんです。こんなしょうもないの捕まえてないで、ちゃんと仕事して下さい」
母ちゃんは、俺をしょうもない呼ばわりしながら、警官に怒っていた。スーパーで仕事中に呼び出されたのが、よっぽど腹に立ったみたいだ。それから、あまりの母ちゃんの剣幕に警察も困ったのか、俺も帰らしてもらえることになった。でも、家に帰る途中、母ちゃんに散々小言を言われた。
「もう、二度と、こんなことで会社に電話してこないで」
そう言われたけど、電話したのは俺じゃないし、俺はいいことしたかっただけなのに、なんだか腑に落ちなかったけど、とりあえず母ちゃんに何回も謝った。
家に帰ると、「警察も大変だな。こんなのの相手もしなきゃいけないんだから」と、父ちゃんに笑われた。
「ひとごとじゃないですよ。そんなことで呼び出された私の気持ちにもなって下さい」と、母ちゃんはまだ怒りが収まらない様子だった。
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