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「ああ、またひきこもりに戻ったのかと思ってた。ごめんごめん」
母ちゃんが笑いながら謝った。とりあえず、このままではやばい。これからどうするか俺は本気で考えることにした。
それから三日くらい考えた。今度はだらだらじゃなく、ベットに寝そべってはいたけど、ちゃんと考えた。だけど、いくら考えても答えなんて浮かばなかった。というか、何も浮かばなかった。そもそも高校入ってすぐにひきこもった俺に現実的な解決策なんて浮かぶわけもなかった。学校も途中でやめて、社会のことなんて何も知らなかった。俺が持っている知識なんて、毎週読んでいたマンガの知識くらいだった。
台所に行くと、よれよれのスウェットを着た父ちゃんがいた。ビールも飲んでいたから、夜なのだろう。
「おお、孝史、なんか決まったのか?」
「あら、孝史、これからどうするの?」
父ちゃんも母ちゃんも、俺を見るなり尋ねてきた。
「いや、何も浮かばない。俺、何もやることない」
二人は、「そりゃそうだろう」と笑った。
「孝史、考えてないで働け。どっか働けるところ探してやろうか?」
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