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父ちゃんが超現実的な答えを俺にぶつけてきた。俺も薄々はわかっていたけど、頭が、心が、身体がそれを拒否していた。
「それは嫌だ」
「じゃあ、どうしようもないな」
父ちゃんはそう呟くと、ビールを一口飲んだ。母ちゃんも呆れたように俺の前にご飯を置くと、「じゃあ、どうしようもないよ」と、ため息をついた。人は働くために生まれてきたのかと、俺は哲学的なことを考えながら出されたご飯を食べた。
「天国にでも行こうかなぁ……」
ご飯を食べた後、俺がそう呟くと、食器を片付けようとしていた母ちゃんが、手を止めた。
「死んだらだめ」
そう言って俺の両手を掴んだ。
「孝史、それは駄目だぞ。ちゃんと考えろ」
父ちゃんも真剣な目をして俺に訴えかける。なんだか突然緊迫した雰囲気になって、俺は耐えられなくなる。
「いや、俺、働きたくもないし、やることないし、それなら天国もいいかなって」
「孝史!」
母ちゃんが必死な顔で怒鳴る。
「孝史、投げやりになるな。べつに今すぐどうこうしろなんて、言ってないだろ」と、父ちゃんも俺を諭す。
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