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「でも、俺って、天国行けるのかな?」
「ん?」
父ちゃんが首を傾げた。
「天国って、いい人が行けるんだろ。俺、行けるかな?」
「それは無理だろ」
父ちゃんがあっさりと答えると、母ちゃんもそれに頷いた。
「そうねぇ。真面目に生きるか、いいことしないと天国は無理よね。孝史は真面目に生きてないから、それこそ何かいいことしないとね」
父ちゃんも母ちゃんも的確なことを教えてくれる。
「いいことって、何?」
父ちゃんも母ちゃんもしばらく考えていた。
「そうだな、人助けだろ。いいことといえば」
「何か奉仕でもいいんじゃないかしら。人の役に立てば」
「わかった」と、俺は答えて、明日からいいことをすることにした。そうすれば、天国に行けるだろう。やりたいこともないし、働きたくもない。だったら、後は天国に行くしかない。何もないからって死んでも、その後地獄でずっと苦しめられるのは流石に辛かった。
俺は朝起きて、服を探した。何年も外に出なかったから、外で着れそうな服が、白いシャツと、中学の時の体育のジャージしかなかった。俺は、リビングで、朝ご飯を食べながら、母ちゃんに聞いた。
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