夏色デート

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そうして虹輝と同じ髪型にした杏奈が着替え終わると、家で待っている陽太を迎えに行って花火大会へと向かった。 大きな花火大会なので人が徐々に多くなっていく。 「はぐれるなよー」 前を行く陽太と杏奈に慈雨が声をかける。わかってると振り返った陽太は白い甚平を着ていて遠目からでも分かりやすい。その隣の杏奈はつかさの昔の浴衣の柄が気に入ったとのことで杏奈用に慈雨の祖母が仕立て直したものだった。 「少ししたらつかさがチビたち引き取ってくれるってさ」 「え、つかささん、せっかくの休みなのに大丈夫なの?」 「うん、つかさも何だかんだで杏奈のこと可愛がってるからね」 それにまだ幼い二人を花火の最後まで連れ回すのも良くないだろう。子供たちの楽しみは花火というより屋台なのだろうから、満足すれば二人もわがままは言わないはずだ。 「そっか。でも、彼氏とかと行かないのかな?」 「今いないからこそなんじゃないかな」 「あ、なるほど」 慣れない草履と浴衣の裾に苦戦しながら虹輝は納得した。 「あれだけ美人な才女の恋人ってどんななんだろ」 「さぁね、あの人、仕事命だからね。結婚とかもしなそう」 「そうなのか? そういえばお前、噂になってたの知ってた?」 「? どんな?」 「つかささん、お前のこと迎えにきたりしてるだろ? だからつかささんが成宮の年上の彼女って噂されてたんだよ」 「は!? いやいや有り得ないだろ」 びっくりしたように言って慈雨は笑い出す。 「つかさ、若そうに見えるけど30後半だからね?」 「えっ!!」 「当たり前だろ、俺の父さんの妹で俺の叔母だよ? ちなみに俺の母親と一歳違いだから」 もうすぐ40だよ、と成宮が言うのに驚愕しながらてっきり30歳前後だと思っていた。遠目から見ればまだ20代に見えていたし、と慈雨と一緒に車に乗っていた時のことを思い出す。 「だから時々母親みたいなことしてくれるんだよね」 そういう理由で今日も杏奈たちを預かってくれるのかもしれない。慈雨のことも杏奈のことも可愛いのだろう。 よかった、と思った時だった。 「佐藤?」 「えっ?」 浴衣の袖を引っ張られて虹輝は振り返る。
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