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恋じゃなくて多分、愛じゃない
その日の天気は雲一つない快晴だった。
秋晴れ、というには異常気象のせいで残暑がキツすぎる暑さに、服装はまだ軽い装いを身体が好む。
トップスは薄いピンクのTシャツに軽い素材のジャケット、パンツはダメージ加工された太めのジーンズ、靴はカジュアルに白のスニーカー。
加えて斜めに掛けられたショルダーバッグ。
仕事では着られないカジュアルさだが、休日は身軽で気取らない軽さが好きだ。
週末の街並みは朝から賑やかである。主に学生か家族連れが多いようで、俺からすれば若くてエネルギッシュな声が満ち溢れている。
良樹の家から電車で数分、改札を抜けると街は閑静な住宅街。
朝の10時、秋晴れも手伝ってかスポーツウェアに身を包みウォーキングをする人や自転車に乗ってサイクリングに行く人、また広くて遊具が豊富な公園でバスケをする人など、商業施設がないながらも休日を楽しむ人々が目に映る。
学校という職場にいれば、オフィスで働くよりも身近に子どもの存在を感じられるが、休日の和やかさはまたそれとは違うものだ。
忙しい日々にふと、忘れてしまいそうになっていた光景にトゲトゲしていた心が柔らかくなる。
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