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時間ならいくらでもあると言うのに、それでも答えをつかみとれず、この状況に甘んじている自分に心底腹が立つ。
しかし、そうも言ってられないのもまた事実だ。明日明後日と時が経つにつれて、東雲先生の気持ちがどう変わるのか正直、見当つかないことが恐い。
万が一、本当に百万分の1レベルの可能性として俺の周りの人、つまりユウリや良樹まで傷つけれることも考えられるのだろうか。
可能性として考えられる全てを頭に描けば、ぞっとした。そんなことあってはならない未来だ。
ーおつかれさま。ごめんな、今、文化祭関係で忙しくしててしばらく会えない。
ならば今は、少しでも自分との繋がりを匂わすものを断ち切るべきだろう。
出来るだけ不快に感じさせないように、携帯の画面をタップしていく。
しばし迷った挙句、送信のアイコンを押した。
ぼすっと音を立てて布団に沈み込み、これからのことを考える。
すべきことはもう決まっている。あとはただ、行動に移すだけ。
幸い明日は土曜日。在宅ワークの良樹には買い物に行くと告げれば疑われないだろうし、土日が勝負の商売をしているユウリも俺に構ってる暇もないだろう。
克巳はきっと、家にいる。
布団に一緒に沈めた携帯がブーっとバイブ音を告げたが、今は見る気にもなれず額の上に腕を重ねて目を閉じた。
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