恋じゃなくて多分、愛じゃない

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改札を出て右、ひたすらに続く一本道を歩いているとアパートが見えてきた。 見慣れた二階建てのアパートに住み始めたのは、克巳と三年前に契約したあの日からだ。 三年前の春を思い出せば、既に懐かしさが込み上げる。あの頃はただただ、好きな奴と始まる新たな生活に浮かれていたんだった。 『これからよろしくな、克巳』 『こ、こちらこそよろしく、奏』 そう言ってつま先を立たせデカい身体にキスをしたあの日、俺たちにこんな未来があると想像していただろうか。 幸せだった過去がやけに煌びやかに脳裏に蘇り、ふと涙腺が緩みそうになった。 一本道、家から徒歩五分のファミレス。見ればそこかしこに克巳との思い出が詰まっている。 楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、辛かったこと。全部全部、克巳と一緒だったんだ。 たかが三年されど三年。思い返せば愛おしい思い出の嵐が俺を襲う。 …ああ、でもやっぱり、楽しかったな。 結局、不満があったとしても喧嘩をしたりしても、残るのはプラスの感情だけなのだ。
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