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「はらいそ? …ってどこだ? ……いや、もしかしてあれが噂に聞く長寿の……」
一瞬、面食らうも、すぐにその可能性へ思い至る太野であったが、そこへもう一人、今度は若い女の子が坂道を小走りに駆けてくる。
色白の肌に鼻筋の通った端正な顔立ち、黒髪を三つ編みおさげに結い、白いブラウスに黒いロングスカートという清楚な服装をした高校生ぐらいの大変な美少女である。
「あ、どうも……」
会釈する太野に、少女はちょこんと頭を下げると先を行く青年を追いかけるようにして、そのまままた小走りに駆けて行ってしまう。
「……やはり神社関係者か? ……あの二人にも後で話を聞いてみたいな……」
見ていると、追いついた少女は浴衣の袖に取り付き、なにやら青年に語りかけている様子だ。
その後姿をしばし見送った後、太野はくるりと踵を返して、再び神社の方へ向けて歩き出した──。
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