そういうあなたに恋をして

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「『あな恋』の続編、持ってくる?」  わたしの愛読書『愛を知らないあなたに恋をして』という大恋愛小説の続編である。最近、発刊された。  彼は困ったように、しかし、きっぱりと言った。 「いや、もう十分かな」  工藤さんは、読書が好きで、いつも面白い本を探している。でも、わたしに本を貸してと言ったわけではないらしい。  となると……、 「そういえば会社の人から、変わったビールもらったんだ。もしかして、冷蔵庫に入ってたの気付いた?」  彼はかなりのビール好きである。さっき冷蔵庫からお茶を取ってもらったときに、見たのかもしれない。 「え、入ってた? どこの銘柄?」  気付いていなかった。これも違うらしい。 「神奈川の地ビールだって。……あ、もしかして、眠くなった?」  彼は本当によく眠る。だから、こんなに背が大きくなったのだろうか。  しかし、工藤さんは怪訝そうに言った。 「さっきから話に脈略がないけど、なにか気になることでもあるの?」  やばい。あと、思いつくことといえば、あれしかない。
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