0人が本棚に入れています
本棚に追加
ついていくよ
数か月後、長期休暇をもらった俺は、海に来ていた。
「来たぞ。ちゃんと安全区域の海。人多いな。でも、皆楽しそうだ。俺は……やっぱりお前がいないと楽しさとかよくわかんねぇけど」
人の声。波の音。潮のにおい。眩しい光。砂の感触。水の冷たさ。心地よい風。そして、輝く海。
「見てるか。感じてるか。俺と一緒にいるんだろ。最後まで、俺が連れて行ってやるから、ちゃんとついて来いよ」
お前に生きろと言われた。この世界で、お前のいない世界で、生きていく俺の姿。ちゃんと見てろよ。
「見ているよ。兄貴の最期まで、ちゃんとついていくから」
最初のコメントを投稿しよう!