一緒に行こう

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一緒に行こう

 俺らは戦地にいた。敵は魔獣。だが野生の魔獣ではない。敵対勢力によって操られている魔獣兵器だ。 「ったく、魔獣を兵器として使うなんてな。一体どんなカラクリだ?」 「そんなこと考えても仕方ないでしょ。まさかとは思うけど、弱音吐いてる?」 「はっ!んなわけないだろ!こんな雑魚どもいくらきたところで俺らの足元にも及ばねぇよ」 「だね」  俺らの部隊は対魔獣戦の特殊訓練を受けている。そのためいつもの要領で敵をなぎ倒していった。 「ボスがこの戦いが終わったら、しばらく休暇をくれるそうだよ」 「滅多にない長期休暇!さすがに疲れてきたこの状況で、モチベーション上がる情報ありがとな!」 「アメは与えるタイミングも大事だとボスが言っていたよ。ところで、休暇中、兄貴は何する?」 「もう休暇の話か?」 「やる気出るでしょ」 「そうだなぁ。……今は思いつかねぇな。お前は?」 「僕は、普段できないことしたいな」 「例えば?」 「例えば……旅行とか!街で暮らす人々がやっているような、安心安全な旅行」 「どこ行くんだ?」 「それはこれから決めるよ。もちろん兄貴も一緒だからね」 「旅行ねぇ」 「連れて行ってよ。兄貴と一緒ならどこ行っても楽しいだろうし!」 「わかったよ。じゃあ早くこいつら倒して、帰らなきゃな」  俺らは目を合わせ、笑い合った。お前がいれば何でもできる気がしてくるのは、どうしてだろうな。 「これで最後か!」  最後の一体を倒し、ひとまず息をつく。 「やっとだね」 「大丈夫か?」 「なんとか」  ふり返り、お前の無事を確認し安堵した。  気を抜いてしまった。 「兄貴危ない!!」  お前の叫びの直後、俺は意識を失った。
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