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「ねえ優太、今から銀行行こう」
「銀行? 金でも下ろしに行くのか?」
幼馴染の皐月の部屋でゴロゴロしながら漫画を読んでいたら、急に皐月が立ち上がって俺の手を取った。
毎回皐月は突然モノを言う。
そして俺は毎回振り回されるのだ。
今回だっていきなりなんで銀行なんか。
そもそも高校生の俺たちに銀行へ預けるだけの金があるとは思えない。
お年玉がめちゃくちゃ貯まってるのか?
「違うよ。まあ、ある意味同じか」
「はあ?」
さっきから皐月の言動が理解できなくて、怪訝な顔で皐月を見上げる。
まあ皐月の言動が意味不明なのは今に始まったことじゃないけどな。
ガキの頃から周囲から浮いていた皐月は、いつも奇想天外なことをしていた。
そんな皐月の唯一の友達が俺。
さあ今回は何に付き合わされるのやら……。
「銀行強盗しに行こう!」
「……はああああ!!?」
そう朗らかに言い放った皐月は、いつもとなんら変わらず無邪気な笑みで俺を見たのだった。
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