0人が本棚に入れています
本棚に追加
「……なんでだ?」
信じたくない目の前の現実に、一瞬脳がトリップしかけたが、そうもしていられない。
俺は必死に頭をフル回転させる。
まだ高校生の皐月が、どこで拳銃なんてアングラなモノを調達したのか。
勿論気になる。
だけど今は、そんなことどうだっていい。
そんなことより聞かなくてはいけないことがある。
「なんで銀行強盗をしようと思ったんだ?」
昔から、奇天烈な行動をとる皐月の一番側にいた俺。
皐月のことをどんなに理解できなくとも、理解しようとすることを諦めたことは一度もなかった。
皐月だって俺と同じ人間だ。皐月なりに何かを考えて生きている。
皐月の言動にはちゃんとした意味が――
「この前主人公が刑務所から脱獄する映画見たでしょ? それ観て気になったんだよね。刑務所ってどんな場所だろう? って。僕まだ一回も行ったことないし」
――ない。
皐月の言動には意味なんて全くない。
同じ人間であることが信じられないくらい、皐月は何も考えていない。
皐月はただ、自分の好奇心に忠実なだけ。
最初のコメントを投稿しよう!