心中クリミナル

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「……なんでだ?」  信じたくない目の前の現実に、一瞬脳がトリップしかけたが、そうもしていられない。  俺は必死に頭をフル回転させる。  まだ高校生の皐月が、どこで拳銃なんてアングラなモノを調達したのか。  勿論気になる。  だけど今は、そんなことどうだっていい。  そんなことより聞かなくてはいけないことがある。 「なんで銀行強盗をしようと思ったんだ?」  昔から、奇天烈な行動をとる皐月の一番側にいた俺。  皐月のことをどんなに理解できなくとも、理解しようとすることを諦めたことは一度もなかった。  皐月だって俺と同じ人間だ。皐月なりに何かを考えて生きている。  皐月の言動にはちゃんとした意味が―― 「この前主人公が刑務所から脱獄する映画見たでしょ? それ観て気になったんだよね。刑務所ってどんな場所だろう? って。僕まだ一回も行ったことないし」  ――ない。  皐月の言動には意味なんて全くない。  同じ人間であることが信じられないくらい、皐月は何も考えていない。  皐月はただ、自分の好奇心に忠実なだけ。
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