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言わずもがな、俺の頭は爆発寸前。
3回くらい気絶しそうになったが、悲しいかな、まだ意識はある。
普通は『映画で観て気になったから』、『一度も行ったことがないから』なんて理由で『刑務所に行きたい』とは思わない。
「もう二度とお前とは映画なんか観ない……」
ついに思考がショートして最初に口から出たものは、なんとも覇気のない独白だった。
「そうだね〜。刑務所に行ったらなかなか映画は観れないだろうね〜」
カチャカチャと拳銃に弾を入れながら皐月が戯ける。
俺が言いたいのはそういうことじゃない!
……なんて言っても無駄だ。
こうなってしまえば、皐月と会話が噛み合うことはまず無理だろう。
俺がどんなに皐月を理解したくとも、皐月の思考回路はこれっぽっちも読めないのだ。
「さて、準備できた。それじゃ行こうか? いざ、銀行強盗へ!」
だからこそ――
俺は皐月から離れられない。
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