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どうして生きていなければいけないんだろう。ふと頭に浮かんだ疑問に答えは浮かばない。けれどそうじゃない、別に生きていなくたっていいじゃないかと気づいて。
「そうだ、死にに行こう」
歩きながら考える。どうやって死ぬのがいいだろう。世の中には人に迷惑をかけないように考えろって言う人が多いような気がするけれどそんなことどうでもいいと思う。それより重要なのは確実に死ねることだろう。飛び降りは意外と生き残ってしまうと聞いたことがある。一酸化炭素中毒は生き残ると苦痛だとも聞いたことがある。そういえばずいぶん前に流行った本で自殺件数が少なくなったと聞いたことがあるからそれを読んでみようかな。
考え始めるとわくわくしてくる。せっかく一回しか死ねないんだから、一番いい方法で死にたい。理想の方法は何だろうか。そもそも一人で死ぬためにはどんな方法があるだろうか。他殺に見せかけるための方法もドラマや漫画で見たようなものがいくつか思い浮かぶけれど別にそんなことをする必要はない。それができるならほかの方法だって選べるのが今の状況だ。
この世界が観測範囲からなくなるのだからそれはこの世界がなくなることと同義だし、それならいなくなった後のこの世界のことなんて考える必要はないだろう。大事なことはちゃんとこの世界からいなくなること。そうでなければいろいろ言われるんだろうから。
ああ、どうせなら後悔したいな、あの話みたいに飛んだ後。飛んだ後に水でも地面でも着くその時までに。後悔できるだろうかこの状態で。けれど多分一番長いものだから。はっきりした思考が一番長く残るのはそれ、どちらかだろうから。
じゃあ大きな船でも乗ってみようか。別に金を残す必要なんてないんだから。持ってる金を全部使って死んでみよう。
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