20人が本棚に入れています
本棚に追加
でもいざ入学してみると、これから毎日、通えるか自信はなくなっていた。
先生がこの一年の目標を書いてくださいと言った紙の真ん中に小さい小さい字で"毎日学校に通うこと"と書いた。
壁に貼られたら、全く肉眼では見えない程で、お母さんが面接で来た時、多分見たと思うと、申し訳ない気持ちになった。
一日、また一日と思いながら通っていた。
正直、しんどかった。
でもお母さんを喜ばせたい気持ちが背中を押した。
学校では予定通りバドミントン部に入部して身体を動かすようになると気持ちは次第に楽になって行ったような気がする。
小さい大会では優勝も出来た。
正面玄関に大きなフォントで"祝 中村洋平くん、バドミントン〇〇大会優勝!"などと張り出されて恥ずかしかったり嬉しかったり。
こんな風に少しずつ自信をつけて行った。
そして、3年になり部長になった。
学校行事でも先生の推薦でリーダーを任されたり一番驚いたのは卒業式での答辞と卒業生一同の合唱の指揮をすることだった。
指揮などしたことがなく本当になかなかうまくいかなかった。
何日にも渡って指導して頂いてやっと何とか形になったのだけれど、当日は僕が冒頭から大泣きしながらの指揮になってしまった。
後で聞いたら、毎年、指揮をする子は大泣きしているそうだ。
あぁ、よかった。
終わったところでお母さんに会ったら「感動したよ。お疲れ様!」と涙目で声を掛けてくれた。
お母さんが喜んでくれて本当に良かった。
最初のコメントを投稿しよう!