不透明

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待ち合わせ場所で手を振っている二人。 香帆先輩と松田さんの所へ慌てて走って行く。 「すみませんっ、お待たせしてしまって。」 「全然お待たせじゃないから大丈夫よ。」 「俺らが早く着いただけ。」 そう言ってくれて〝ん?〟と思い腕時計を見るとまだ約束の時間前。 「遅刻かと思っちゃいましたっ。」 「ごめん、ごめん。こっちが早く来すぎたのよ。」 「ふふっ、そうだったんですね。他には誰か来るんですか?」 この日は誰が参加で何の飲み会なのか全く聞いていなくて香帆先輩と二人かな?なんて思って来た。 私は大体誘われた日に予定が無ければ参加の返事をし、こちらからはあまり誰が来るとかは聞かない。 会社の人達は皆んな良い人で色んな人の話を聞くのは楽しいし勉強になるから。それに大抵最初に誘われる時に誰々とって言ってくるので言わないってことは、まだきちんと決まっていないんだろうなと察する。 但し、それは女性限定で男性に誘われた時は用事があるとお断りをする。 これは柊也に対する最低限の礼儀だと思うし、柊也にもそうであって欲しいから⋯ ただ、誘われたのが女性でも課の飲みや部の飲み会の時はもちろん男性社員もいる。これは仕方がないと割り切っていた。 「今日はあと〇〇と〇〇と⋯ 」 と数人の名前を聞いて気付く。 「香帆先輩それって先輩達の同期会じゃ⋯?」 「いや、たまたまね?ホントにたまたまだから。」 「爽ちゃんはスペシャルゲストなっ?」 え⋯ そんな⋯ 私は3年入社が先の先輩たちの中へと連れられて行くことに。 そして、知っている先輩も初めて会う先輩もいて挨拶をしてから一緒に美味しい料理とお酒も少し。 女性達は香帆先輩を通して全員知っているし、いつも可愛がってもらっていてとても楽しい飲み会だった。 一次会で盛り上がり皆さん結構ベロベロ。 明日は、私は参加しないけどレクがありバスケットとバレーの試合をするからと二次会は無しで帰ることに。 「爽ちゃん、ちょっとだけ三人で飲まない?」 松田さんが香帆先輩と自分を小さく指差して私に言った。 楽しくてテンションが上がっていた私は 「はいっ。」と返事をする。 まさかこの後、松田さんから衝撃的なことを聞くことになるとは⋯ 知る由もない私はニコニコと笑っていたーー。
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