光 彩

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バスで1時間ちょっとのスキーリゾート。 当日はバレンタインデーということもあるのかカップルが目につく。 どこもかしこもハートの装飾で飾られていて、恐らく夜になるとハート型のイルミネーションがあちこちで煌めくんだろう。 そのスキー場からほど近いところにある会社の福利厚生施設はまだ新しく綺麗な建物で、温泉もある。 社員は会社に申請すれば格安で泊まれるという。 今回は爽が来れなかったから今度、青山達と四人で来ようと話していた。 大体の人はスノーボードで今日は快晴だし最高のボード日和。 俺は毎年こっちに帰って来たらタクミ達と近くのスキー場へ通うくらいボードは好きだ。 水野が数回しかやったことがないということで青山が付きっきりで教えているから、俺は上級コースを自由に滑っていた。 山は晴れていると本当に気持ちが良い。 澄んだ空気と白い山々が視覚的にも最高でストレス発散にもなるし、日頃の忙しさで疲弊していた心と身体が開放されていく感覚。 このあとの温泉も楽しみだし、爽も来れたらもう本当に言うことなしだったのに⋯ この景色を一緒に見たかったな。 あとで爽に送ろうと所々で止まり、壮大な景色をスマホで撮りながら滑っていた。 写真も沢山撮って、午後は同期や先輩達とも気持ち良く滑っていたら営業部の女子社員に 「黒木君!すごい上手だねっ。ちょっとだけ一緒に滑ってコツとか教えてくれない?」 と言われた。 女子社員はもちろん先輩で無下に出来ないし、どうせ好きに滑っていたから 「いいですよ。」 と言い、俺が滑っていたコースより簡単なコースを選び3人の先輩達とリフトに乗る。 「黒木君、すごいね。プロ並みじゃん。」 「そんなことないですよ、子供の頃からやってたんで。でも最近はあまり時間がなくてなかなか行けなくて身体が(なま)っちゃってますから。」 「そんなこと言って~。女子達の目、ハートになってたからねぇ。」 もう一人の違う先輩が言った。 俺はなんて言っていいかわからずに 「そうですかぁ、やった!」 なんて喜んで話を合わせていた。 そして少しすると 「ねぇねぇ、彩里(さいり)さん見た?」 「見た見た!ホント綺麗だよね?」 「うんっ、もうモデルの撮影ですか?って感じ。ウェア姿がもう最高に素敵なんだよ~。」 先輩達がなにやら興奮して話していたーー。
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