異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件

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 お、親父…? やっぱり似ているだけあって、親父だったのか…。ロベルト・バレンシアなんてカッコつけた名前つけやがって。親父は「長谷川和雄」だろうが。異世界でもちゃんとそう名乗れっつーの。まあ、俺も他人のことは言えないけど…。それにしても、親父はいつ転生してきたんだろう。多分俺よりは前なんだろうが、どれくらい前にきたんだろう。  ていうか1番疑問に思うのは、親父はどうして俺がパオロ・バレンシアではなく「長谷川洋平」つまり、自分の息子が異世界転生してきているということに気づいたんだろう。貴公子っぽくちゃんと上品な話し方をしていたのに。振る舞いだって、40歳引きニート「長谷川洋平」にはとても見えなかったはずだ。どういうことなんだ。教えてくれ、親父。 この先、俺達はどうなるんだろう。親父に聞きたいことは、まだまだ山ほどある。だから親父、頼むから無茶だけはやめてくれ! ☆長谷川和雄の視点☆  私は、ロベルト・バレンシア。いや、もう飾るのはよそう。ワシは長谷川和雄。65歳。家業の畳屋をやっている。詳しくは「やっていた」。まさかこの歳で転生し、挙げ句の果てには20歳も若い貴族になるとは、夢にも思わなんだ。しかし、もっと夢にも思わなかったことがある。ワシが転生した数年後、息子の「洋平」まで転生してきたことだ。ある時、いきなり自分はパオロではなく、洋平と話していることに気づいた。なあに、洋平だということはすぐにわかったわ。  洋平は、無理している時、右肩に力が入るクセがある。だから最初、進路の話したいで呼び出した時、ワシのことを「父上殿」と呼ぶ時、それから敬語で話す時に、右肩が上がっていた。無理もない。あいつはほとんど社会経験のない引きこもりだからな。  思えば、洋平は小さな頃からいつも右肩が上がっていた気がする。テストで褒められた時も、次も頑張らなくてはと思ったんだろう。プレッシャーに感じていたはずだ。塾に通い始めてからは、水平な肩をしている洋平を見たことがない。プレッシャーに押し潰されているだろうということは、誰の目にも明らかだった。だが、ワシは洋平に、優しい言葉をかけてやれんかった。ワシも弱い人間なのだ。  だからこそ、転生してきてからの洋平の頑張りには、目を見張るものがあった。バレンシア家の嫡子に対するプレッシャーは、長谷川家のそれなんかとは次元が異なるだろうに。  あいつは、洋平は、ワシに勇気を与えてくれた。今度は、ワシが強くなる番だ。  洋平のことは、メイドのミョージャに頼んだ。このことはソーナにも言ってある。ミョージャは優しくて気だてのいい娘だ。平民だが、そんなことは関係ない。洋平は、ミョージャをしっかり守ってやらにゃいかん。  ちなみに、ミョージャには洋平のクセを教えておいた。これで万全だ。  じゃあ、洋平。達者でな。
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