異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件

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「何を言ってるんだ貴様はぁ!」  怒り狂ったロイドは、カバジ・ジャコフに向けて無数のビームを放ち始めた。しかし、カバジ・ジャコフには一切、当たらなかった。 「ふぉっふぉっふぉ。わたくしが使用人だとしたら、使用人に手も足も出ない主人がどこにおりますかな?」  そしてカバジ・ジャコフはポケットから警察手帳のような物を取り出した。そこから魔法によって、何か印のようなものが立体的に浮かび上がった。俺には何がなんなのかわからないが、ロイドは驚き、何も言えずに後退りしている。どうやらカバジ・ジャコフがギルバート帝の回し者だということは、本当みたいだ。 「貴様…! ワシを今まで騙してたのか!」 「今までバルドナード家の威光振りかざし、ご自身を含めた一族の罪を揉み消し、我が皇帝ギルバート様を欺いてきたのは、あなたの方ですぞ、ロイド・バルドナード…!」  カバジ・ジャコフは力を込めて言った。そして深く息継ぎをすると、力強く言い放った。 「ロイド・バルドナード。貴方に命じます。法廷に出頭なさい。貴方を、魔法裁判にかけます!」 「待て! ワシが何をしたというか!」 「詳しいことは、裁判ですべてがわかります」  カバジ・ジャコフはにべもなく言った。魔法裁判。現実世界での裁判は弁護人を立てて云々とやるが、魔法裁判は違う。これはこっちの学校で習ったことだが、裁判に引き摺り出された被告人に、裁判長が「審判」をかける。すると、事実が自動的に明らかになってしまうのだ。ああ、考えただけでも恐ろしい。  というか、バルドナード家の主はバレンシア家を潰そうとしてたということだが、実は国家の主は、バルドナード家を潰そうと見張っていたということだ。 「くたばれ老いぼれめ!」  ロイドは、謎の必殺技をありったけカバジ・ジャコフに喰らわせた。しかしカバジ・ジャコフが人差し指をくいっと回転させると、ロイドの方にビームはすべて跳ね返り、ロイドの姿は跡形もなく消え去った。  気づくと、いつの間にかカバジ・ジャコフの姿は消えていた。俺は親父の亡骸を抱き抱え、自分の屋敷に運んだ。  屋敷に着くと、絶命した親父の姿をを見て、ソーナは膝から崩れ落ち、アロンゾは泣き叫んだ。ミョージャも泣いていた。俺はミョージャを抱きしめ、悲しみを分け合った。  この日は、バレンシア家の思い出を、とりわけ当主のロベルト・バルドナードの思い出を語り合った。俺は長谷川和雄、つまり親父のことを語っているつもりで喋った。この日の夜は、一生忘れることはないだろう。  バルドナード家はギルバート帝の命により、領地と財産を国家に返上した。そしてその一部はバレンシア家に還付された。実質的には、バレンシア家が一族の本家となり、親父が亡くなったことによって当主になった俺が、パオロ・バレンシアが、一族の棟梁となったのである。  しかし、身分はまだ学生。あと2年はギルバート帝国学院剣術科に通うことになった。 ー1章おわりー
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