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「じゃ! もうホームルームを始める」
みんなはさっきの騒ぎが嘘だったかのように静粛になった。うん。わかるよ。だってマルイ、怒るとおっかねえもん。
「では、2年生になった諸君。進級したばかりで気の毒だが、学年及び学校生活の最大行事が近づいてるってことはわかるべ?」
「はーい!」
元気よく返事をしたのは、例の最強女騎士、ブルーナだ。あいつ、あんなキャラだったんだ。1年生の時はルイスが濃すぎて埋もれてたけど。
「じゃあ、もう魔物サバイバルについての説明はいいな? よし! ホームルームはお開きだべ」
「魔物サバイバル!? 何それッ!」
何だそれ、魔物サバイバルって、聞いたことない、ってあれ? クラスのみんなが俺を見てる。やべ、大きな声出しすぎたか。
「パオロ! おめえよ、せっかく復学したんだべ? 再び休学送りにされてえか!」
「いえ! すみません」
クラスメイト達からは笑い声が起こる。なんだよ、「休学送り」って。意味はわからないけれど、やっぱりマルイは怒るとおっかない。
「ホームルームが終わったら誰かに聞いとけ」
寮に帰り久しぶりに自分の部屋に向かう。全然使っていなかったし、掃除もしていなかったので、中はどんなことになっているか、少し怖かった。
ええい! しゃらくせえ! 心の中で自分を奮い立たせ、部屋のドアを開けると、そこには何故かシュミートがいた。
「おや、お帰りですか、パオロ君」
「お帰りですかじゃねえよ! なんでここにいんだよ!」
「何も、パオロ君がこの僕にそんなに強く当たる権利は有しておられませんぞ?」
「なんでだよ! ここ、俺の部屋だぞ!?」
「おや、聞いてなかったのですな? 僕はパオロ君がいない数ヶ月間、委員長として、毎日キミの部屋を掃除してあげていたのですぞ! 感謝こそされても、怒られる筋合いはないですぞ」
シュミートは得意気に人差しでメガネをくいっと直した。そうだったのか、ごめん、委員長。本当に助かります。
そう言えば部屋、めちゃくちゃ綺麗になってる。シュミート、几帳面そうだもんな。
「そ、そうだったのか。それは感謝するよ。ありがとう」
礼を言うと、シュミートは少し照れ臭そうにした。そして挙動不審に陥っていた。こいつ、嬉しいと挙動不審になるのかよ。かなり厄介だな。
「あ、そうそう、そう言えば、さっきパオロ君の配偶者を名乗る謎の女性が押しかけてきましたが、きっぱりとシャットアーウト! しておきましたぞ。ここは男子寮ですからな」
あ、ミョージャのことだ。シュミート、てめえ、なんという余計なことを…!頭カチンコチンかよ! てか、ミョージャもミョージャだな。誰が「配偶者」だよ! ったく、変な噂立つからやめろよな。
「それはそうと、パオロ君、誰かに魔物サバイバルについての詳細は聞きましたかな?」
「あ、そうだ聞いてない。教えてくれ」
「わかりました」
そう言ってシュミートは頭の中を整理しようとしているのか、独り言をぶつぶつと呟き始めた。
バンッ!!
俺の部屋のドアは破壊された。そこにはブルーナが立っていた。
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