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「パオロ様!?」
「ミョージャ!?」
「どうしてここに!?」
ハモった。
「あ…。すみません! お先に仰ってください!」
「う、うん…」
ばったり会ったため心の準備ができていないが、そんな呑気なことを言っていられる状況ではない。俺はミョージャに対して頭を下げた。
「パオロ様…!?」
「ミョージャ、ごめんなさい!」
もう、俺は俺だ。変な気取った喋り方をするのはもうよそう。パオロはパオロだが、長谷川洋平テイストのパオロだ。
俺は、ミョージャに一からすべて事情を説明した上で、改めて謝罪の意を表明した。
「そうだったんですね…。そうとは知らずに、早とちりしてしまった私も私でした。申し訳ございませんでしたぁ!」
「ううん。それは全然いいんだ」
ギュッ!!
え?
「仲直りのハグです!」
「ミョージャ…」
ミョージャからは、良い香りと、温もりと、それより何より大事な、「愛」を感じた。
「ミョージャ。俺はミョージャを、愛している」
「私も、です、パオロ様」
「ヒュ〜! お盛んだねぇ!」
通行人に囃された。我に返って辺りを見てみると、俺とミョージャの周りには若干の人だかりができていた。やっべ、ここ街中だった。完全に忘れてた。
急いで俺とミョージャは離れると、笑顔で顔を見合わせた。
「ミョージャは何の用で?」
「パオロ様と同じです…! パオロ様と仲直りしたくて」
「マジか!」
「えっ」
「俺達、同じ周波数で動いているんだな」
「そういうことですね」
ミョージャはウフフと笑った。そうだ! 他の用事も思い出した。
「ミョージャ、剣のことなんだけど」
「あ、はい。お母様のソーナ様に、パオロ様が騎士の美徳をちゃんと重んじることができていたら渡すように言われていたものがあります」
「今の俺は…?」
「もちろん、立派な騎士道精神をお持ちです!」
「よし!」
俺達は、バレンシア家の屋敷の剣庫に向かうことにした。
屋敷着き、ソーナとアロンゾに挨拶を済ませ、俺達は剣庫の鍵を開け、扉を開いた。
薄暗い剣庫の中、奥まで進むと、1番奥にはたいそう立派なガラスケースに保管された、美しい紺色の剣が光輝いていた。
「これは…」
「パオロ様、これが何かおわかりですか」
「えっと、ミスリル?」
「大正解! でも、ただのミスリルではありません」
「だよね、なんかブルーの輝き方が普通とは違う気がする」
「そうなんです。これは、アクアミスリルです。先代のギルバート帝から、ロベルト・バレンシア様のお父様である、ヘンスリー・バレンシア様に賜ったものです。つまり、ロベルト様もお使いになられたことがある」
「お、親父も」
「パオロ様」
「うん」
俺はアクアミスリルを手に入れた。これは親父の形見だ。そして、俺とミョージャの愛の結晶でもある。
俺は、この剣で闘う。
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