第一章 涙花の旅立ち

12/13
前へ
/254ページ
次へ
「ひぃゃぁぁぁぁ~~~」 バスと電車、そして新幹線を乗り継いでやって来た大都会。着いた早々、私の第一声がそれだった。 降り立った駅構内は何かのお祭りがあるのだろうかと思わせるような人の多さだった。 (噂には聞いていたけれど……これほどのものとは!) 今まで育って来た場所とあまりにも違うこの現状にただただ驚くばかりだった。 (ハッ! ダメダメ、ボーッとしていたら田舎者だとすぐにバレてしまう!) 気を取り直した私はいっちゃんから送られて来ていた待ち合わせの場所まで行くことにした。 (えーっと……中央口の階段を下りてすぐってことだけど……) 駅構内の地図だけ見ればすぐに解りそうなものだったけれど、実際に歩いてみると人の多さと目に飛び込んで来る雑多な看板の多さとお店で視界がグルグルしてしまう。 (う゛ぅぅ~~~ちょっと気持ち悪くなって来た……かも) 昨夜は緊張していたせいでロクに眠れなかった。ついでにバスの時間も早かったから朝食抜きだ。 (何処か座れる処ってないかなぁ……) 辺りをキョロキョロと見渡していると目の端に待ち合わせ場所であろうオブジェが見えた。 (あ、多分あそこが待ち合わせ場所だ) 周りに座る処はあったけれど全て埋まっていて席は空いていなかった。 (はぁ……もういいや……) 疲れ切っていた私は徐にオブジェの前でしゃがみ込んだ。 (あんまり遠くに行ってもダメだし……此処で座っていた方がすぐに見つけてくれるよね) そんなことを考えながら行き交う人たちを眺めているとやたらとジロジロ見られているのに気が付いた。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

481人が本棚に入れています
本棚に追加