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(? 何だろう)
不思議に思いながらも特に何かいわれたりすることもなかったので、そのまま体育座りを続けた。
(あっ、そうだ。いっちゃんに着いたよって電話しよう)
持っていた携帯を操作し始めた瞬間──
「──あの、ひょっとして……アオキさん?」
「!」
ほぼ頭上から聞こえた声にドキッとした。見上げると其処には知らない男の人がいた。
(はっ?! な、何、この人…!)
その男の人の髪の毛は田舎では見たことがないような色素の薄い色をしていた。
(外国人?!)
少し暗い色をした瞳を見つめて更にドキンと胸が高鳴った。
(ひゃぁぁ~~~いっちゃんと同じくらいカッコいい!)
思わずその容姿から目が離せなくてしばらく呆けてしまった。
「……あの、口、開いてるけど」
「へ?」
「涎、垂れそう」
「!!」
我に返って慌てて口の端を拭った。その様子をジッと見ていた男の人が突然ククッと小さく笑った。
「凄い……今時そんな漫画みたいなリアクションする子がいるなんて……初めて見た」
クスクス笑うこと数分、私はこの男の人がどういった人でなんで私に声を掛けたのかよく解らなかったので何も言葉が出なかった。
(あ! そういえば)
「はい! 青木です」
「……え」
「先刻、青木かって訊いた……ですよね? 私に」
「……」
「私、青木です」
「……時間差── プッ!」
少し治まっていた男の人の笑いがまた再開した。
(え、えっ……何、何、なんなの~~~)
そうして私は男の人の笑いが止まるまでただジッと待つしかなかったのだった。
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