第八章 涙花の決意

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一日ぶりの帰宅。短いようで長かった外出を到着した部屋の中で「ただいまー」なんて言いながら反芻していた。 (蒼さんの別荘って蓼科にあったんだ) 山道を下りた処には観光地のようなとても魅力的な風景が広がっていた。場合が違っていたら薫さんと観光したいとさえ思った。 (いつか行けたらいいなぁ) そんなことを考えているといきなり後ろから薫さんに抱き付かれて驚いた。 「ルイカ、やっとふたりきりになれた」 「あ……あの、ふたりきりって……いっちゃんは」 「樹は午後の営業の後、ミーティングを兼ねた会食があるって言ってた」 「……」 「だから今日の帰りは深夜になるって」 「あ……そ、そう、ですか」 薫さんから伝えられる言葉が続けば続くほどドキドキと胸が高鳴る。 (じゃあ今この家にいるのは私と薫さんだけ……なんだ) そう思った途端、更にドキドキし始めてしまった。 「……ルイカ」 「っ」 体をクルッと回されそのまま薫さんと見つめ合う形になった。 「ルイカ、愛している」 「!」 薫さんがスッと屈んでキスした。チュッと音を立てた軽いキスが二度三度。そして小さく開いた隙間から薫さんの舌がスルッと滑り込んで来た。 「ふっ……ん」 静かなリビングにクチュクチュと粘着質の音が響く。 (や……な、なんか……体、が) しばらく続いた深いキスのせいか体の中から少しずつ力が抜けているようで思わずバランスを崩してその場に座り込みそうになった。
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