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甘く濃厚な行為を終え、服を身に着けているとベッドに横たわっている薫さんがさらりと驚くようなことを言った。
「ねぇ、ルイカ。ふたりで暮らさない?」
「……え」
「僕、いつでも気兼ねなくルイカとイチャイチャ出来る環境に身を置きたい」
「っ! イ、イチャイチャって……」
「それに……ルイカには僕の仕事を手伝ってもらいたいって気持ちがあるんだ」
「……へ」
更に驚くような言葉が薫さんから飛び出し、私はしばし呆気に取られてしまった。
(え……えぇっと……?)
「実は僕のネットショップ、少しずつだけど評判になって来ていて注文数も増えて来ているんだ。それでネットだけじゃなく実際にショップを構えたらどうかって話も舞い込んで来ていて、そこら辺ちょっと考えていたんだよね」
「そうなんですか?! 凄いですね、薫さん! ……あ、でも納得出来ます。薫さんのお洋服、凄く可愛いですもん。着たてみたいって思う服ですから」
「ありがとう。でね、そういうことだから今すぐにでも戦力になるスタッフが欲しいなと思っていたんだよね」
「それが……私?」
「うん。ルイカ、手先が器用だし裁縫の基本が出来ているからミシンだってすぐに扱えるようになると思う。そして何よりもルイカが仕事を手伝ってくれたら僕としてはいつでもルイカと一緒に居られるという最高の環境になるんだけど」
「一緒に……」
「そう。常に、ずっと、いつまでも」
「……」
薫さんから紡がれる言葉にドキドキと胸が高鳴って、それと共にジワジワと何ともいえない幸福感が湧き上がって来た。
(好きな人といつも一緒に居て、傍で同じ仕事をして)
それってなんて素敵なことだろうと思った。
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