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それに──
「ルイカ、何かあったらすぐに上に来るんだぞ。俺が助けてやるからな」
「ありがとう、いっちゃん。でも大丈夫だから」
「おまえ、たまにはオレ様の飯を作りに来い。あと風呂掃除に洗濯に」
「あの……蒼さん、そういうのはもう朱里さんが完璧にやっているでしょう?」
私の視線の先には朱里さんがいた。相変わらず控えめに佇んでいて、でもほどよい距離感を保ちつつ蒼さんや私のことを優しい眼差しで見つめていた。
(確かに此処でよかったかも)
薫さんとふたりきりにもなれるし、いっちゃんや蒼さんたちと離れ過ぎない距離感のこの新居でよかったと思った。
「よーし、それじゃあ今日はお祝いだ! パーティーするぞ、パーティー!」
「いっちゃん、はしゃぎ過ぎだよ」
「樹は祭り好きだから。任せればいい」
「そうなんですか? それは知らなかったな」
まだ私の知らないいっちゃんがいたことに少し新鮮な気持ちになりつつも、その日は新居にて夜遅くまで楽しい時間を過ごしたのだった。
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