ロック活動

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ロック活動

私は毎日学校を休んで、このロックな活動を2人と続けていた。なかなか、ロックな人材は簡単には見つからない。それでも、この活動はしているだけで楽しく、いい気晴らしになった。それだけで意味があったと思う。本来なら、ロックな人材集めも気晴らし程度に、軽くやればいい。でも最近の私はどこかこん詰めているところがあった。それは私らしくなかった。きっとそうなってしまう理由は、私がやらなければならないある事のせいだ。それをやるために、ロックな人材発見活動は休むようになっていった。 「あれ、今日もロックちゃん来ないね」 「そうだねぇ...最近のロックちゃん。ちょっとおかしいよねぇ...」 「なにかあったのかねぇ」 最近は、ほとんど顔を出せていないから彼らがそう言う会話をしているかもしれないとふと思い浮かんだ。今日も、私は、彼ら二人の元へ行かず、やるべき事をするために、廃工場へ向かった。 廃工場の錆びれた重々しい雰囲気と、独特な匂いに包まれた空間に足を踏み入れると、私がやらなければならない事に関する最重要人物達がいた。 「はぁ、おい、てめえ。こんなことをして、ただで済むと思うなよ」 「響歌、こんなこといつまで続けるつもりだ」 私がやるべき事をやる相手は3人いて、口枷を剥すと、2人は威勢よく叫んだ。1人は黙ったままだった。 「私の気が済むまでは続けるつもりだよ」 「お前はまたあんな目にあいたいようね」 と、3人目が口を開いた。威勢が良くないが故に、重く威圧するかのような声だった。 「あんな目にか、それは君たちの方じゃないかな」 「はぁ?誰がてめぇなんぞに」 「まずは、威勢のいい君から行くね」「君にはそうだな... グラムロックが似合いそうだ」 そう言って私は、威勢のいい一人のクラスメイトの女を拘束台へと連れていき、拘束具と目隠しとタオルを用意した。 「右腕、左腕、右足、左足。それぞれ別の拷問をする。その拷問で一番痛いと感じる所を叫んでね。叫ばないと一生その拷問は終わらないから」 これは、奴らがそうしたようなものだ。それをそっくりそのまま返しているだけ。奴らもそのようにどれが相手にとっていちばん苦痛なのかを試し、様々な方法でいたぶり、その反応を楽しんでいた。そして、一番ウケが良かったものを、反応が大きかったものを続けようとした。 「右足!右足いいぃぃぃい!!!」 「右足ね、じゃあ右足の拷問を全ての胴体にしよう」 「それが終わったら、次は一番痛い指で試そうか?でも今度は嘘をつくかもしれないから痛くない指とかでも楽しそうだよね」 人間の身体的苦痛は、精神的苦痛にもなる。でも私の拷問は精神的苦痛から身体的苦痛へとなり、身体的苦痛から精神的苦痛へと循環するようになっている。つまり、抜け出せない地獄の循環であり、最高にロックな精神的苦痛の与え方だ。 「じゃあ次は君だ」 「私?ねえ響歌。もうやめてよこんなこと」 「やめないよ。言ったでしょ。私の気が済むまでやめないって」 「このクソ女、私が下手に出たからって調子に乗るなよ」 「本性を出すのが早いよ。これだから裏切り者は」 裏切り者は裏切られた者の気持ちを理解することが到底できない。でも、私はそんな身勝手なやつのことを許せなかった。だから彼女の友人を呼んだ。いやもっと端的に言えば、彼女が友人だと思い込んでいた人達だ。 「なによ、あんた達」 「ごめんね。静香。私達、、本当は、アンタのことなんて友達と思ったこともないし、無理に付き合ってただけで、本当はクソほど面倒くさくて、死ぬほど嫌いだったんだよ」 彼女にとっては、友情物語が崩れ、友人から罵詈雑言をあびせられ、そして今まで裏切られていたことに気づく。その言葉一つ一つの鋭いトゲが、彼女の心に刺さっていく。悪い言葉は吐けば吐くほどどんどん出てきて、それがひとつの旋律のようになる。その旋律は速く、激しく、そして鋭く尖っていて、とてもロックなものだった。この言葉の群れこそ、プログレッシブロックの音源そのものかもしれない。裏切り者が最後に裏切られ、自分の過ちに気づくという展開の歌詞も最高にロックだろう。 「プログレッシブロックの音源は流さなくてもいっか。次行こう」 「最後は取っておきの君だ。君には身体的苦痛も精神的苦痛もあまり効かないだろうから。とっておきの方法をとらせてもらうよ」 「何をする気?」 「君には、新しいロック、オルタナティヴロックを奏でてもらう」 「はぁ、なによ、それ」 「簡単に言えば、君は、私に従うだけ。それだけでいい」 かつて、貴方が私を思いどおりに操ったように、私も貴方を思い通りに操り、貴方は私無しでは生きていけなくなる。いじめは、こうでないと。いじめは、相手の嫌なことをするだけじゃない。相手と切っても離れない主従関係を結び、自分の思うがままに操り、一生目の前に光が見えない地獄を見させ、それを楽しむことなのだ。相手への嫉妬を引き起こす原因は、プライドの高さ。そして相手を見下す傲慢さ。私を下に見ていたということ。そんな私のおかげで生かされているという状況は、プライドの高い者にとって相当な屈辱だろう。
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